課長、ちゃんとしてください。

でも、あたしはその言葉を呑み込んだ。




べつに、わざわざあたしが言うことじゃないし………。




あたしが黙って歩き出すと、課長はにこにこしながらついてきた。





まず清水寺に向かった。




バスの二人がけの座席は、新幹線に比べて狭くて、腕どうしが密着するので参った。





あたしは肩に力を入れて、なるべく課長に触れないようにしていたけど。




課長は気にした様子もなく、「京町屋って風情があるねぇ」とか「あの店おいしそ〜」とか何かと話しかけてきた。





バスを降りて坂をのぼり、清水寺の本堂を参り、有名な清水の舞台や音羽の滝を見物。





その間、あたしはなぜか妙にかたくなってしまって、課長の言葉にうなずくことしかできなかった。