あたしは今度は『新明解国語辞典』を手にとった。




かなり独創的な、チャレンジングな、というか独断と偏見を前面に押し出した語釈をしていることで有名な辞書だ。





『恋愛』の項には―――





特定の異性に特別の愛情………


高揚した気分………


二人だけで一緒にいたい………


常にはかなえられない………


やるせない思い………


まれにかなえられて歓喜………






―――ううむ、当たらずとも遠からず?




確かに、課長といるときの動悸や紅潮は、『高揚した気分』というやつかもしれない。





そんなことを考えながらぼんやりと紙面を眺めていたあたしの目に、驚くべき言葉が飛び込んできた。






「………にっ、肉体的な一体感っ!?」