課長、ちゃんとしてください。

伊藤さんと言い合ったときの課長の姿が、ふと脳裏に浮かんだ。





いつも飄々として柔らかな物腰を崩さない課長が、はじめて見せた厳しい顔。




周りに波風を立てないようにしている事なかれ主義の課長が、年配者にきつい物言いで楯ついた姿。





それは、部下たちのため。





あたしは今まで、この人の何を見ていたんだろう?




課長は、不真面目な適当人間なんかじゃない。





きっと誰よりも、周りのことを考えている人。




他のどんな上司よりも、部下のことを思いやってくれている人。






あたしは無意識のうちに席を立ち、課長の横に立った。






「………課長」





「おー、あべちゃん。


どした? 終わったー?」






課長がへらりと笑ってあたしを見上げる。