私とメガネくんの秘密のレッスン




side 白石潤




ヤバイ ヤバイ ヤバイ。



「潤!
 姉貴から話聞いたんだけど、
 瞬兄に成りすまして
 彩乃ちゃんの家庭教師やってんだって?!」



「……あぁ。」



「で?
 どう?彩乃ちゃん!」



「どうって…
 普通だよ、普通。」



「けっ。
 つまんねぇのー。」




ううん、
全然普通じゃない。


俺はこの先家庭教師をやっていけるか
心配なところだ。


今の俺の状況は…
かなりまずい。




「でもさ、
 彩乃ちゃんと密室で二人きりだろ?
 男の立場で言ったらかなりヤバイよな!」



その通りだ。
だけど……




「そうか?
 俺はどうも思わねぇよ。」



本心は言わない。

言ったらこいつは絶対に煩い。
それに鈴村彩乃に何を言うか
わかったもんじゃない。



この間は久し振りに
女と居てヤバイって思った。



クリクリな目に、
上目使いされると窮地に立たされる気分だ。



おかげでその日のレッスンは
ブレーキ掛けるように
思いっきり厳しく指導してしまった。



鈴村彩乃は半泣き通り越して
落ち込んで口数も少なくなるし、


俺が帰るときも
そのまま落ち込んだ状態が続いていた。



そして今日も…。




「…にしても
 お前厳しくやりすぎなんじゃねぇの?

 彩乃ちゃん、
 ずっとお前のこと見てたぞ。」



「厳しくしねぇと
 駄目だったんだよ…。」



「はははっ。
 お前結構彩乃ちゃんに
 はまってんじゃん!」



「うるせぇよ。」




結局バレてるし…。

もういいや、
開き直ろう。




「あんな純粋無垢な女と
 密室に居てみろ。
 ……持たねぇよ。」



「はははっ。
 やっと本心打ち明けてくれた?
 なになに、あの子そんなにやり手?」



「無意識だからたち悪いんだよ…。」



「そらたち悪いな!
 だから厳しくしてんだ?」




正直言うと


隼人の言うとおり鈴村彩乃にハマってる。
アイツの声がするとついつい反応しちまうし

自然と目で追ってしまっている。




「……ハァ。
 俺恋はしねぇって決めたのに…。」



「必然だよ。
 しないって決めてても
 うまくいかないのが人間だろ。」



「……まぁそうだけど…。」



「それに真奈美と彩乃ちゃんは
 違う人間なんだ。
 いい加減前向いて歩けよ。」



「……あぁ。」




"真奈美。"


今の俺を作り上げた最悪な女。




「さっ、
 その八つ当たりのせいで
 彩乃ちゃん落ち込んでるんだから
 今日のレッスンは優しくしてあげなよ?」



「今日はレッスンねぇんだよ。」



「あらら…
 じゃあ明日までお預けだ?」




"学校では必要以上に話し掛けるな。"

何時だったか彼女に言った言葉。
自分で自分の決めたことに恨む。

確かに彼女の落ち込みようは尋常じゃなかった。




「明日か…。」







side 白石潤 end