「彩乃? これはなにかしら?」 「えっと… か…紙切れですかねぇ?」 そう始まりは紙切れ。 うん、 カッコいいスポーツブランドである ナ○キの赤いロゴがたくさん描かれた紙切れ… その紙切れの右上には堂々と 29 と言う数字が赤い字で書かれている。 お母さんはそれを持って、 顔を引きつらせて私を睨む。 私は目を泳がせながら、 下を向く。 あぁ、またお母さんを怒らせた… これも何回目だろうか。