辛かったあの頃は、世界の大きさに気づいていなくて、


狭く息苦しい空間で迷い続けていた。


友達からの裏切りや、


常識からズレた燃え上がるような恋。


その二つを処理するには、14才の私はあまりに幼かった。


あの頃の私はこの恋に名前がずっと欲しいと願っていた。


……そうだな。


今の私が名前をつけてあげるとしたら、それは。


限りなく純粋な恋……かな。


リクが女の子だとか、男の子だとか、関係なかった。


ただ一人の人を好きになった。


人を好きになることに


性別も、年も、国籍も、関係ない。



「ありがとう、リク……」



歌うリクを見ながら呟く。


すると目が合って、最高の笑顔を見せてくれた。