帰ったあとはリクとリクのお兄ちゃんとトランプをしたり、テレビを見たりして朝までの時間を過ごした。


……いつの間にか朝の5時。


外は薄暗く、朝日が登る少し前。


空気は澄んでいて、なんだか落ち着く。



「お邪魔しましたぁ」


「おう、また来いよ!」


「どうせコイツすぐ来るよ。なんてたって家出少女だもんな?」


「うるさいからぁ!」



余計なこと言わなくていいのに。


リクの肩を殴って家を出た。


もう2度と家には帰らないって思ったけど、そうはいかない。


しばらくリクといて、頭も冷えたから、帰ろうという気になった。


……不思議だ。


リクといると気がゆるむ。


安心して、笑っていられるんだ。


もっと、ずっと、一緒にいたいなって、そう思えるほど。


そして駐輪場ではリクが自転車のカギを外してる。


……また二人乗りかな。



「私が前漕ぐよ?」


「いーよ、後ろで。咲の運転は怖いから」


「はっ!ひどぉー!」



ひどいな!まったく!


でも……。


こうやって憎まれ口叩きながらも、ちゃんと送ってくれるんでしょ?


というか、それは優しさでしょ?


私に後ろに乗ってていいよって、そう言ってるんだよね?


そしてまたキュッと小さくなった胸に気づいて頭を振る。


……昨日からなにこれ。


切なくなるような、でも、どこかほんわかしたような、心臓の動き。


私は、知ってる、コレの正体を。


だけど、気のせいだよね……?


だって、あり得ないでしょ……?