「ありがとうございましたー!」
コンビニを出てまたリクの家を目指す。
不意にリクを見ると空を見ながら歩いていて、危ないなぁ……なんて思った。
「……死んだら月になりたい」
「えっ、月?星じゃなくて?」
ていうか、いきなりなんの話よ……。
唐突にそんなことを言い出すから、びっくりした。
リクの横顔を見ると、なんとも言い難い表情をしていた。
悲しそうな、寂しそうな。
でも暗いわけでは、なくて。
どこか、希望を探しているようなそんな眼差しにも見てとれた。
「でも、月は、ダメだよ」
「なんで?」
「だって月は夜しか出ないし。夜は私寝てるし。ダメだよ……」
「えーー……」
すれ違うじゃん。
私が寝た時に顔を出す月。
月が隠れたら起き上がる私。
会えないじゃん?
「じゃあ仕方ない。あの月に一番近い星を咲にあげる」
「……いりません」
なんなんですか、そのロマンチストみたいなクサいセリフは。
だいたい星をあげる権限なんてリクにないでしょ。



