悪いこと、しちゃったかも……。
「のどかわいた!ジュースとアイス買いに行こう、咲」
「うん……」
リクがそう言うから、また外に出た。
「ぶー!気をつけて行けよ!」
「わかってる!」
「……ぶぅー?」
リクのお兄さんがリクのことを「ぶー」と呼んだ。
「家では自分のことぶーって呼んでるし、呼ばれてんの」
「へぇー」
そうなんだ。
今度は歩きで、来た道の途中にあったコンビニまで歩く。
……そういえば。
「リク、私サイフ持って来てないよ」
「そんなん気にすんな」
サイフを私に見せながらニヤッと笑うリクにたじろいでしまった。
……なんて男前なヤツなの。
でもリクは女の子だ。
見た目や、心が、男前でも。
間違いなく、女の子。
背だって、私の方が少しだけど、大きい。
「どれがいっかなぁ。ん!咲!これ美味いの、知ってる?」
「え、なにそれ。食べたことない」
「美味いから食ってみ?じゃあ咲はコレな」
それがいいとは、言ってないけど。
買う気満々で、カゴに入れられた棒つきのアイス。
……ちょっと強引。
それでいていつも笑顔で、口調だって男の子っぽいけど、いつだってさりげなく優しい。



