「わかんないわよ?智也くんが自分の子供だって嘘吐いてたんなら、結婚してるってのも、もしかしたら……」



駄目だ……指先が震える。

まだ、全てが“もし”の話。

だけどそれが、本当なら。



「まだ結婚まではいってない彼女とのペアリングを見て、彩乃が結婚したって勘違いした……とかかもね。後には引けなくなって、咄嗟に嘘吐いたとか」

「そっか……彼女とのペアリング……」

「わかんないよ?でも、嫁との結婚指輪よかマシでしょ」



まあ、確かに。

今は、ポジティブに考えよう。



例え叶わなくても……それでも、今以上に後悔することはないだろうから。



「ごめん瑞穂。さっき頼んだ焼酎、吞んどいて!お金は払うから」

「了解」



財布から千円札を三枚抜き出し、瑞穂に渡す。