「彩乃……」



もう出来ない。

君に好きだと伝えることも。

君の隣で笑っていることも。



「泣かないでよ彩乃。腫れた顔じゃ子供達びっくりしちゃうでしょ」

「……う、ん」

「この前は彩乃が慰めてくれたから、今度は私が彩乃を元気づけるよ」



私の頭をぽんぽんと撫でて、穏やかな声で優しい言葉をくれる瑞穂。



「みず、ほ……」

「いつもの居酒屋行って、パーっと呑もうよ!パーっと!」

「ふふ……そうだね」



もう好きじゃない、なんて、少し前なら何でもないような顔で言えたのにね。

多分……瑞穂にはバレバレだったんだろうけど。