「あ!もしかして、買ったって言ってたトロロのまぼろしの祠⁉︎」

「そうそう。見たがってたろ」

「うん!行きたい!」

「んじゃ決定だな」



まだ生温い風が私達の背中を押した。

西の空で輝く太陽に目を細め、その先に今と変わらない未来が見えた気がしたんだ。





「……峰、泣きすぎじゃねぇか?」

「だ……だっで……」



エンドロールが流れるテレビの前で、私は何度も涙を拭う。

そんな私を隣で眺めている隆太郎は、ちょっと引き気味。



「隆太郎、ディッシュ」

「へいへい」



ボックスごと差し出され、それを受け取る。

2、3枚とって豪快に鼻をかむと、隆太郎は呆れたように笑った。



「……っく」

「……」

「……ひっく」