君のココロの向こう側

「今日……何時上がり?」

「あ、……多分、6時」

「じゃあ6時半に駅前のwingってバーに待ち合わせでいい?俺も多分それくらいだと思うから」

「……うん、わかった」



隆太郎は小さく微笑んでから、振り返って門へと歩いていった。



もう二度と……見つめることのないと思っていた背中。

なのに今、“先”の約束をしてる。



「……収まれ、心臓」



今日は鍵をかけよう。

自分の心に、決して開くことのない南京錠を──。





「峰先生、今日はもう上がってください」

「は、はい」



園長先生に声を掛けられ、思わず表情が強張ってしまう。

ちらりと見上げた時計の針は5時50分を指していた。



「……お先、失礼します」



重い足を動かし、更衣室へと向かう。