君のココロの向こう側

──ドク……

胸が騒つく。

私を蝕むのは、変な圧迫感。



「おはようございます」



背後から聞こえた、懐かしい君の声。

恐る恐る振り向けば、隆太郎の眩しい笑顔がそこには在った。

瑞穂が耳元で「彼だよね?」と訊ねてきたので、小さく頷く。

と、気を利かせてくれたのか、瑞穂は智也くんを預かり、教室へと歩いていった。



「……今日は……スーツじゃないんだ」



カジュアルな服装の隆太郎に投げかけた精一杯の言葉。

それを聞いて隆太郎は小さく笑う。



「あぁ。昨日は偶々上の人と会ってたから」

「私服出勤OKなとこなんだね」

「まぁな」



昨日と変わらず、ぎこちない。

付き合ってた頃はこんなことなかったのに。

それだけ、月日が私達を変えたんだね。