君のココロの向こう側

隆太郎はまた穏やかに、悲しいくらい優しい目をして。



「そうだよ。お前以上なんて現れる気しないって、言ったろ?」



そうだね、言ったね。

あんな昔の一言を、まさか隆太郎も覚えてるなんて。



「私の想いはあの頃からずっと変わってないよ」

「……っ」

「でも隆太郎は、違うんだよね。その左手──」

「あっ!」



私の声を遮るように声を上げた隆太郎。

あまりに突然のことに、口をあんぐりと開けたまま固まってしまう。



「そっかこれか。これで峰、俺が結婚したと……」

「え、え……?」



私の前で隆太郎はそれを──外した。



「ちょ……大事なものでしょう⁉︎奥さんとじゃなくても、彼女とか──」