君のココロの向こう側

「おい峰……!」

「もういい。もういいよ、隆太郎」



他人だろ、そう言った隆太郎の声は冷たかった。

きっとそれが答え。

私が今好きだなんて言ったって、何の意味も為さないだろう。



「6500円になります」



言われた金額分のお金を差し出し、店の出入り口に手を掛ける。



「すみません、お騒がせしました。ありがとうございました」



背中に店員の声を聞きながら、店を後にした。

外に出ると、少し肌寒さを含んだ風が私の肌を撫ぜる。

沈む太陽はいつも通り眩しく、目が眩んだ。



「……今度こそさよなら」



一歩、新しく生まれ変わった気持ちで歩き出す。

髪がない分、足取りが軽くなったような気がして、なんだか不思議な気持ち。



「……はぁ」



言いたいことは何一つ言えなかった。