君のココロの向こう側

いつ言おう、なんて言おう。

そんなことを考えているうちにも、隆太郎は私の髪を切っていく。

切り終えたら、もう。



言わなくちゃ……ちゃんと、聞かなくちゃ。



「ねえ、隆太郎」

「……ん」

「隆太郎、結婚したの……?」



──シャキン……

耳元で鋏の音が聞こえる。

次に聞こえたのは、隆太郎の低い声だった。



「……峰はそれを聞いてどうすんの?」

「え……」



素人にはもう十分に見えるくらいカットされた髪を切りながら、隆太郎は続ける。



「俺が結婚してるかどうかなんて、峰には関係ない話じゃん」

「それはそうだけど……」

「俺とお前はもう4年も前から他人だろ」