何か言おうとして、また口を閉ざす。

それを何度か繰り返し、私の髪を纏め上げた頃。



「……智也は」



と、低い声が耳元から聞こえてきた。

あまりに近い距離に、息を飲む。

狼狽えるな、私!



「……そんな固くなんなよ」



バ、バレてる……!



「べ、別に固くなってなんか……」

「そ?」



……何考えてるんだろう。

昨日の隆太郎ならきっと笑ってたところも、今は無表情。

仕事場だからなのか、隆太郎も緊張してるのか、或いは……私に会いたくなかったのか。



「……智也は、俺の子じゃない」