終わったことだから話せる。
あたしは、ギブソンのピックを弄びながら続けた。
「あの事務所がほしがってたのは、あたしじゃなかった。
流行りの歌を流行りの歌い方で歌えて。
ファッション程度にギターが弾けて。
まあまあ見映えがよくて。
自分のCDのジャケットを自分の写真で飾れて。
そういう女の子だったら、誰でもよかった。
絶対にあたしじゃなきゃいけないって必要性はなかった」
「ようこちゃんの個性や魅力を活かさないってわけ?」
「そーいうわけです。
なんか、改造費1億って言われた。
歌はここを矯正して、顔はここをいじって胸も入れて。
そのトレーニング費用と整形費用で1億」



