12月8日のラヴソング―拝啓ジョン・レノン様―



「メジャーで出てる子は、もっと早いもん。

高校時代にはちゃんとした音楽トレーニングを受けてるんです。

下手したら高校すら行かずに。

中卒の身ひとつで、芸能界に飛び込んでるんですよ」


高校時代、あたしにも、いくつかその手のスカウトがあった。

結果的には全部“ノー”だった。


「キモい、と思ったんですよね。

ああいう世界。

プロデューサーっていう人種とか」

「キモい?」

「気持ち悪かった。

歌う人形を作りたいだけなんだな、って。

あたしって人間を売り出してくれるんじゃなくて。

昔、とある事務所に入りかけたんだけど、キモくてやめた。

無理だって思ったんです」