「メジャーで出てる子は、もっと早いもん。
高校時代にはちゃんとした音楽トレーニングを受けてるんです。
下手したら高校すら行かずに。
中卒の身ひとつで、芸能界に飛び込んでるんですよ」
高校時代、あたしにも、いくつかその手のスカウトがあった。
結果的には全部“ノー”だった。
「キモい、と思ったんですよね。
ああいう世界。
プロデューサーっていう人種とか」
「キモい?」
「気持ち悪かった。
歌う人形を作りたいだけなんだな、って。
あたしって人間を売り出してくれるんじゃなくて。
昔、とある事務所に入りかけたんだけど、キモくてやめた。
無理だって思ったんです」



