12月8日のラヴソング―拝啓ジョン・レノン様―



ジョージ少年は、ようやくしゃベった。

よく通る声だった。


「さっきまで一緒のハコにいただろ?」

「出演してた人?

あー、じゃ、わかった。

2番目にやってたブルース系のでしょ?」

「それだよ。

覚えてたか」

「ギターと演奏はね。

顔は忘れてた」

「ライヴの前に楽屋でも挨拶したんだけど」

「あっそ。

みんな挨拶してくれたから、誰が誰だか」


ジョージ少年はうなだれて、長々とため息をついた。

そのまま、上目遣いにあたしを見た。


「あんた、いい性格してるな」

「どーも。

そんで、何か用?」

「用件なら、さっき話したんだけどな」

「あたしの耳は2つとも、ビートルズを聴いてた。

用件はシンプルに言って」