ジョージ少年は、ようやくしゃベった。
よく通る声だった。
「さっきまで一緒のハコにいただろ?」
「出演してた人?
あー、じゃ、わかった。
2番目にやってたブルース系のでしょ?」
「それだよ。
覚えてたか」
「ギターと演奏はね。
顔は忘れてた」
「ライヴの前に楽屋でも挨拶したんだけど」
「あっそ。
みんな挨拶してくれたから、誰が誰だか」
ジョージ少年はうなだれて、長々とため息をついた。
そのまま、上目遣いにあたしを見た。
「あんた、いい性格してるな」
「どーも。
そんで、何か用?」
「用件なら、さっき話したんだけどな」
「あたしの耳は2つとも、ビートルズを聴いてた。
用件はシンプルに言って」



