そいつが口をパクパクしてるのを、あたしは観察していた。 ひととおり、ナンパだか演説だかが終わる。 あたしはおもむろに音楽を止めて、イヤフォンを外した。 「で、何だって?」 そいつは、その場にへなへなと崩れ落ちた。 あたしは再びi podのビートルズに意識を委ねる。 シャーリーテンプルの氷を、マドラーで弄ぶ。 仮称ジョージ少年は、あたしの向かいに勝手に座った。 いい度胸してる。 ビールでも頼むのかと思ったら、瓶入りのラムネだった。