「っ!?」


するとエプロン姿の美香が台所に立っていた!



「え〜っと、次は火を弱火にする……っと。」


美香は何やら台所で奮闘中のようだ!


「うわ!ナスが破裂した!!!な、なんでだっ!?おっかしいなぁ〜。」


美香は料理をしてるらしい…。



「何やってんだ?猿。」


ヒロには美香の行動がよく理解できず、見守っていると……。


「ヤベ!もう5時過ぎてる!!冴木が起こしに来ちゃうよ!ま、間に合うかな?!」


「……っ。」


ヒロは美香の今の独り言で悟った。



そして。



「アイツ徹夜だし、ちゃんと美味いの食わせてやるからな!待ってろよ、冴木!」



「ーーっ!!!」



「よし!こっちの煮物は出来たな!………ゲッ!!炊飯セットするの忘れたっ!!!」




クスクス……。


ヒロは一人、美香に気づかれないように壁を背にして笑っていた。



リビングの向こうから美香の絶叫が聞こえてくる!


ヒロはそれを聞きながら思わず言葉がこぼれた。



「ほんと、バカ猿……………。お人好しすぎて敵わねぇ…。」


ヒロはこの時、失ったモノを取り戻していく感覚を覚えたのだった。