あたしも同じようにスプーンを置いた。
1メートルほど先にあるネコ顔は、その眉間にうっすらと皺を刻んでいた。
「……応援は、したいの。当然だよ、友達だもん。せっかく誰かを好きになった大切な気持ちなんだから、あたしもいっしょに大切にしたいに決まってる」
でも、どうしたって、それだけというわけにはいかない場合だってある。
「……でも、だからこそ、そのぶん応援できないよ。洸介先輩が季沙さんをとても好きだってこと、痛いくらいわかるから。新奈に傷ついてほしくないもん。
それに、新奈の恋がうまくいくってことは、つまり洸介先輩と季沙さんが別れちゃうってことでしょ? そんなのなおさら応援できるわけないよ。あんなにお似合いなふたり、ダメになっていいはずがない」
いっきにしゃべった。
半田くんは途中で口をはさんだりしなかった。
「だったらそれ全部、ニイナに言えばいいだろ」
彼がおもむろに口を開く。
かたちのいい、薄いくちびるは、幼い顔立ちには似合わない低い声を紡ぎだす。
「おれの前じゃなくてニイナの前で泣けばいいだろ。それでもおまえの気持ちをわかってくれないようなやつなら、友達やめたらいい」
「やめたらって、簡単に言ってくれるね……」
そこで半田くんがちょっと笑った。
ジョウダン、
と言うけど、この男が言うと冗談に聞こえないから困るのだ。



