半田くんが選んだスーパーは、あたしがいつも使っているところではなかったけど、同じ系列のお店だった。このあたりのチェーン店らしい。
安かった鶏肉と卵、いい色をしていたトマトを買った。
それからニンジンとタマネギ、半田くんのウチには絶対になさそうなコンソメの素も。
買い物をしているあいだ、半田くんはカゴを持ってあたしのうしろをチョロチョロついてくるだけだった。
こういうところにはまるっきり慣れてないって感じだ。
本当にいつもなにを食べて生きているのだろう。
自炊はしないのかな。
「――あ。そういえばすっかり聞くの忘れてたけど、半田くんって好き嫌いとかなかった?」
「ない。でもセロリだけは無理」
隣でじっとあたしの手元を見つめている視線を外さないまま、彼は口だけをボソボソと動かした。
半田くんチの広々としたキッチンは、料理をするのにとても快適だけど、こうも見られているとさすがに緊張する。
あと、セロリがダメなのは立派な好き嫌いで間違いない。
「……あんま見ないでくれる」
「いや、手際いいなと思って」
不意打ちで変に褒めるのも、やめてくれないかな。
どんな顔をすればいいのかわからなくなる。



