フキゲン・ハートビート



次に目が覚めたときにはもう頭痛はすっかり消えていた。

ついでにもやもやした気持ち悪いのもなくなっている。


「んん~……」


ベッドの上で伸びをする。

いつのまにか部屋が赤く染まっていた。
もう夕方になってしまったみたいだ。


半田くんは、まだ帰ってきていないようだった。



ふと、手元にあるスマホが指先にぶつかって、いまさらのようにその存在を思い出す。


開くと、緑と青のアイコンが縦にポンポンとならんでいた。
メッセージが3件。メルマガが2件。

メッセージは、いっしょに授業をとっている大学の友達と、俊明さん、それとなぜかキサさんからも。

いつのまにキサさんと連絡先を交換していたんだろう。
そんなことまで、やっぱりまったく記憶にない。


友達からは、授業を休んだことに対する文句だった。
これにはスタンプで謝っておいた。


俊明さんは、相変わらず、シンプルかつ丁寧な文面だ。


『きのうは来てくれてありがとう。ヒロが連れて帰ったと思うけど、大丈夫だった? 呼んだくせに、最後まで見てあげられなくて、ごめんね。』


酒に飲まれて勝手にツブれたのはあたしなのに、どうしてこの人がゴメンと言ってくれるの。
あまりの気遣いプリンスっぷりに、いたたまれない気持ちになる。


『こちらこそ、呼んでくださってありがとうございました。昨夜はみっともないところを見せてしまって本当にごめんなさい。また今度、改めてお礼とお詫びをさせてください。みなさんにも謝っておいてください。』


これじゃちょっとカタすぎるかなとも思ったけど、わりと真剣な謝罪だし、いいよね。