ちなみに、いやいや本当にひとりで帰れます、というのは、あれから何度も、これでもかというほど、主張した。
これ以上迷惑をかけるのはさすがにアレだと思っての発言だったけど、二日酔いの人間をひとりで帰すことのほうがよっぽど迷惑だと、一蹴されてしまった。
いいからおとなしく寝てろ、だと。
しゃべっている内容は優しいはずなのに、どうしてあいつはいつも怒ったような口調なんだろう。
半田寛人って、変なやつだな。
あの不機嫌な顔の下に、本当はもっと、いろんなものを隠し持っているのかもしれない。
わからない。
べつに、そんなことないのかもしれない。
でも、少なくとも、あのころ決めつけていた“ヤなやつ”とはちょっと違うのかもって、いまはなんとなく、感じているんだよ。



