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  ☔︎


……あー、アタマ痛い。

ていうか全体的に体が重い。
ダルい。

お腹のあたりもチョット気持ち悪い。


「うう……」


赤っぽい、黄色っぽい世界のなか、懸命にまぶたを持ち上げようとするのに、なかなかうまくいかず。


「……飲みすぎたぁ」


きのう、どうやって帰ってきたんだっけか。

2次会とか、あったかな?


……ああ、やばい。
本当にゼンッゼン覚えていない。

記憶が飛ぶほど飲んだのっていつぶりだろう。


とりあえず水を飲もう。

本格的に気持ち悪いや。


「……え?」


やっとのことでまぶたが持ち上がり、目にうつる景色のピントがバチッと合った。


「や……、ちょっと待って」


視界を占領しているのは、生活感のあまりない、殺風景な部屋だった。

モノといえば、小さなテーブルみたいな棚が部屋の端っこにあるだけで。
その上には黒くてゴツいステレオが座っていて。


ほかにはまったくなにもない。

いまあたしが寝ているベッドと、ステレオだけの広い部屋。


「待て、待て待て待て」


……これは、どう好意的に見ても、あたしの部屋じゃない。


「ここ、ドコ……っ!?」


そういえばいま着ている服も、あたしの服じゃない。

……これ、オトコもの、だ。


なんてこった。
なんてこった。

なんてこった。


なんてこった……!!