フキゲン・ハートビート



ふたりで他愛もないことをしゃべりつつ、のんびり歩いた。

お互いになにも言わないけど、ふたりともけっこう緊張していて、それを誤魔化そうと会話を途切れさせないように努めていることは、なんとなくわかった。


やがて到着した、指定された居酒屋の前。

そこにはもうすでに、あまいたまごやきのみなさん、プラスアルファがそろっていて。


あ……、ちゃんと、半田くんもいる。
相変わらずそっぽを向いて、手元でなにやらスマホゲームをしているっぽい。


じゃなくて。

挨拶しないと!


「こ、こんばん……」

「――コンバンワ!」


言いかけたあたしにかぶさるように、新奈のバカデカイ声。


「おお。すげえ元気なの来た、コンバンワ~」


こんなテンションにも押されることなく、軽快に答えたアキ先輩が笑う。

きょうもまぶしいほどの笑顔は直視できないな。
それに、やっぱり中学のころより大人っぽくなっていて、かっこよさ倍増。とても困ります。