それにしても半田くんっていまでもずっとそんな感じなのか。

イッピキオオカミ(彼はオオカミというよりネコだけど)、しっかりやっているんだな。

たしかに話しかけんなオーラが相変わらずバンバン出ていたもんね。
とっつきにくさなら世界選手権出れるんじゃないのってくらい。

あたしはなんといっても一般人代表みたいなただの女子大生なので、芸能界のことはよくわからないけど、あんなのでうまくやっていけているのかな。


……まあ、どうっでもいいけど。



「アキもきみにお詫びがしたいって言ってたし」

「え、ア、アキ先輩が……っ!?」


気を遣わせてしまって本当に申し訳ない。
元はといえば、あたしが不注意で定期券なんかを落としたのが原因なのに。


「それに、俺ももっと話してみたいなって」


完璧な笑顔でそう言った俊明さんに、思わずひっくり返りそうになってしまった。

なんてさりげなく胸キュンワードを言える人なんだ。
なんて穏やかで爽やかで和やかな笑顔なんだ。


これが芸能人か。

これが、芸能人というやつなのか……!


「ちょうど1週間後にちょっとした飲み会やるから、予定がないならぜひおいでよ。洸介ファンの友達も、よかったら」


言いながら、紙ナプキンにケータイの番号とメールアドレス、メッセージのIDをさらさらと書きあげ、俊明さんがコッチに手渡す。

こんなの新奈に報告したら半狂乱になりそうだ。
だって、あたしですら、いまちょっと状況がよくわかっていない。