そのあとで、とうとう口を開いたのは新奈だった。
いつもおしゃべりな新奈がずっと黙っているから、どうしたんだろうと思っていたんだけど、話を聞いて、納得した。
洸介先輩のことを本気で好きだったことと、告白してふられたこと。
それを、すごく迷いながら、新奈はとうとうしゃべったのだ。
季沙さんはやっぱり戸惑っていて、なんと声をかけたらいいのかわからないってふうに瞳を揺らしていた。
そりゃそうだ。
なんでこのタイミングでそんなこと言うんだって、あたしが言いたかった。
でも、黙っていられなかったって。
季沙さんのことが大好きだから、どうしても、このまま黙って仲良くしてもらうのは、つらいって。
新奈は、もう洸介先輩への気持ちはない、ときっぱり言った。
季沙さんは、なぜか、ありがとう、と言った。
――“言いづらいこと、言ってくれてありがとう。
こうちゃんはかっこいいでしょう?”
ああ、なんという人なのだと、
新奈も、あたしも、そしてみちるさんも、そのせりふを聞いたら、うなずく以外になにもできなかった。
新奈ちゃんみたいなかわいい女の子がライバルだったなんて知らなかったな、
と笑った季沙さんに、新奈はほっとしたのか、半べそをかいた。
あたしもほっとした。
新奈が、そのことをどこかで気にしていたのを、ずっと知っていたから。
言えてよかった。
そして、季沙さんが優しくて、本当によかった。



