「ユカっぺはあんなにかわいくて、あんたはこんなにキレイで。はじめてふたりがならんでるのを見たとき、絵になりすぎて、あたしは恥ずかしくてしょうがなかったよ。あたし、なんか……あたしなんかがあんたのこと好きなんて、言えるわけないじゃんか……!」


あれ、いま、好きって言ったな、あたし。

ふつうに言っちゃったな。


でも、まあ、いいや。

こういうのは勢いが大切だ。


それに、これきりもう二度と、会うこともないんだろうし……。


「……おまえは、なんでそんな、いちいち自分のこと認めてやれねえんだよ?」


いらついたような低い声が落ちた。



「すげえいい夢があって、そのためにちゃんと行動してたり。いっつも人のことばっかりで、泣いたり、怒ったり、走りまわったり、そういうことが当たり前にできるやつじゃねえか。

おれはそういう、最高にかっこよくて、すげえアホな真島蒼依のことを、好きなんだけど」



はっとする。

顔を上げる。


目が、合っている。



「おまえはもっと、自分に胸張っていい。……いいんだ」



静かな、それでいて強い声が落ちた。

嘘のないふたつの瞳は、濡れた視界のなかで、あたしをまっすぐ見つめていた。