フキゲン・ハートビート



会場にはなつかしい顔がたくさんあった。

中学のころいつもいっしょにいたミナミとアヤは、当時のギャルっぷりが嘘みたいに、キレイなお姉さんになっていた。


そう言うと、あたしも同じことをそっくりそのまま返された。
アオイ落ち着いたね~って。

そして、あのころみたいに、みんなで笑う。


息をつく暇もないほどいろんな話をした。

当時のこと、いまのこと。

ミナミは歯科衛生士を目指してがんばっているらしい。

アヤは来年、5歳年上の彼と結婚するらしい。



寛人くんは、いなかった。


もしかして来ないのかも、とどこかで思っていたけど。

でも、やっぱり特別な日だし、ひょっとしたら来るかも、って、ほんの少しだけ期待もしていたのに。


実はこっそり探していたんだ。

みんなと話したり、写真を撮ったりしているあいだも。
かったるい話を聞かされてるあいだも。


誰にもバレないように必死であいつのことを探していた。


でも、見当たらなかった。

どこにもいなかった。