フキゲン・ハートビート



と、いうか。

いま、すごく、とてもサラッと、プロポーズしましたよね?


びっくりした。

自然すぎて。

びっくりした。


来月旅行しよう、くらいのテンションで、結婚しよう、って言った。

そして、季沙さんのほうもフツウに、ウンって。


でも、重要なのはそこじゃない。


ふたりの気持ちの、強さ。美しさ。純粋さ。

カタチとして視覚できてしまいそうなほどの、ただ相手のことを愛しているという、揺るぎない、絶対的なもの。

傍にいたい、傷つけたくない、大切にしたいという想い。


ああ、誰かを好きになるって、こういうことだよなって。


あたしは、こんなふうに思えているかな。

いつも自分ばかりじゃなかったかな。


傷つきたくないばかりで、怖がって、挙句の果てには逃げだして……。

そうすることに必死で、いちばん大切なことが、いつのまにか見えなくなっていた。


だけど、伝えなきゃいけない。

傷ついてもいいから。
泣いてもいいから。


ごめんなさいと、ありがとうと、

それから、素直な気持ちを。


あの不機嫌なネコ顔に、あたしは、伝えなきゃいけない。

できるだけ、まっすぐ、真摯に、丁寧に。