フキゲン・ハートビート



きれい、というより、かわいい感じ。


ああ、新奈。
残念だけどドンピシャだったよ。

洸介先輩にはとってもかわいらしいカノジョさんがいるっぽい。



「で、なんだっけ? 定期落としたんだっけ?」


思い出したようにアキ先輩が声を出したので、あわてて視線を元に戻す。


「う……実は、そうなんです。半年分……、にまんごせんえん」

「うわ、そりゃさすがにツライな。一緒に探す?」


ボーカルの一言に、洸介先輩があからさまにぎょっとした。
俊明さんは困ったように眉を下げて笑った。

そして半田くんは、マジでイヤって顔を隠そうともしないのだった。


「いっ……いやっ、大丈夫です!」

「大丈夫じゃなくね? みんなで探したらきっと早いって。2万5千円ってけっこうデカイよ、なあ?」


半田くんの眉間に刻まれていた皺がよりいっそう深くなる。


「付き合ってらんねーよ。勝手にやってろ。おれは帰る」

「おい寛人、元クラスメートなんだろ? 困ってる子を目の前にしてよくそんなこと言えるよな」

「は? 落とすほうが悪いだろ、そんなもん」


うわあ。やっぱりこいつ、ホント感じ悪い。

でも、言っていることはゴモットモすぎて、なにも反論できない。


「おれは帰る」