「……あ、そう。それなら、あたしも安心かな」
よくわからないけど、変に泣きたい気持ちになってしまった。
「じゃ、お大事にね」
大げさにおどけた言い方をしたのは無意識のうちかもしれない。
言い終わる前に背を向けて、そのまま逃げるように寝室を出た。
寛人くんはなにも言わなかった。
……あーあ。
なんだかやっぱりよくわからないやつだな。
素直にアリガトウって言ったかと思えば、心底ウゼェって顔したり。
たくさんしゃべって笑ったかと思えば、すごく不機嫌そうにしたり。
情緒不安定なの?
扱いづらいときも、面倒なときもある。
でも、優しいところも、かわいいところもあるということを知っているから、もやもやする。



