心に悪夢を潜ませ


 それを得意気に、でも内緒にしていてねと話すルヒルの優しさが好きだった。

 病に侵されたのは一年前、とても寒いだった。

 突然高熱を出した、当時流行っていた病だった。

 高熱を出し痙攣し、嘔吐する。

 吐瀉物がノドにつまり窒息する人が相次いだ。

 原因不明の高熱は何日も続き、抵抗力の弱い妊婦や子供、お年寄りが何人も亡くなった。

 私には助けてあげられる人数に限りがあり、全員は救えなかった。

 どうせ治せるからと身体の強いルヒルを後回しに治癒に専念した。

 その結果、ルヒル一人だけがどんな魔術も効かなくなってしまった。