心に悪夢を潜ませ


 かつてないほどの恐怖が身体を支配し、まるで自分の身体ではないかのように言うことを聞かない。

 棚においていた花瓶を倒し、ベッドの布団をはぎ、戦士達が私達を探す。

 周囲を見渡し、本棚の本をぶちまけた。

 「へー、こんなへんぴな村にも魔法使いがいるらしー」

 「透明になる術でもつかってるのかー?」

 床に散らばった本は全て魔術関連の本、何故すぐ燃やさなかったのかと後悔するも、買ったり貰ったりした本を燃やす人なんていない、この状況が可笑しいんだ。

 魔法使いは南の国では珍しくない、だが彼らは西の国の人間だ。

 魔法使いなどみたことがなくても可笑しくないはず。

 そこまで考えて思い出した。

 〈別の町で戦いがあった〉