──コンコンッ
病室のドアを開けると
柚花ちゃんは目を覚ましていた。
不思議そうに俺を見る柚花ちゃんに
軽く自己紹介をした。
それでもまだ俺を不思議そうに
見つめるもんだから
〝もしや...?〟っと思い
昔、遊んだことがあることを伝えると、
驚いた顔をした彼女。
思い出してくれたようだ。
久しぶりの再会だったが、
彼女の顔色が悪くなってきていたので
気になっていたことを聞いた。
返ってきた答えは驚くものだった。
この子は、今でもまだ我慢しているんだ。
兄にも、周りにも言えなくて。
苦しかっただろうな...。
過去を話した彼女の体調は最悪で、
焦る俺の目の前で意識を失った。
やっぱり、まだまだ体は強くないんだな...
俺がこの子の頼れる存在にならなくちゃ。
──この時の俺は、
これからこの気持ちが恋になるなんて
思ってもいなかった。