危ない、転校でちょっとテンションが上がってるみたいだ。

……あ、くだらないことしてるうちに登校する時間になっていた。
急がなければ。


学校指定のバッグを雑に肩に掛け、急いで家を出て、通学路の坂道を走る。
こういう時、食パンかなんかくわえているとイケメンと曲がり角でぶつかれるんだよな。

…やっておけばよかった。


食パンをくわえていないからなのか、曲がり角は7個くらいあったけれど、イケメンが逆走してくることはなかった。


……遂に着いた、鳳ヶ峰高校。一般的な高校よりちょっと大きいくらいの学校だ。
私は普通の生徒より遅く来いと言われていたので、鳳ヶ峰高校への一歩目はポスッと少し間抜けな音を立て、静かに響いた。


「……よし」


指定された時間の10分前、いい感じだ。

えーと、確か職員室はあそこだよな。

私から見て右にある建物の一階玄関のすぐ近くだったはず。

こういう時、場所がわからなくてうろうろしていると、運命のイケメンと出会うんだよな。

勿論私は事前に職員室の場所を教えられているので、そんな運命的な出会いをする確率は皆無である。


…ちょっと残念だ。