「はっ!?」



余りにも唐突だった為、ももかは驚いて後ずさった。







「だだだっ!誰ですかっ!貴方はっ!!」






「あらあらっ?そんなに慌てなくてもいいんですよっ!」





目の前のその人は、如何にも怪しそうなシルクハットを被り、如何にも怪しそうなジャケットを来ており、如何にも怪しそうなブーツを履いていた。



何だか道化師のような格好をしている男だ。




....
とにかく如何にも怪しそうな男なのだ。






その如何にも怪しそうな男は、私の前で如何にも怪しそうに笑う。






「だからっ、誰なんです!?」






私は声を荒らげた。





「私の名前?名乗る程の者でもありませんぜっ!」





「はぁっ!?」





ふざけているのか。こいつは。


しかも誰だ。こいつ誰だ。






「えっへへへへぇ、そんなに怒らなくてもいいじゃないですかぁ!とにかく私の名前はトルマ!よろしくねッ☆」







「トッ······トルマ!?」






「そう、トルマ!どーかしましたかぁ?」






その如何にも怪しげ·········いや、トルマは、不思議そうに私の顔を覗き込む。






(何かこいつ、見覚えある·······かも?)






「?どーしたんですかっ!」






「な、何でもないよ。」






しかし、この目の前にいるトルマを見た事はない。



(気のせいだろう。)




それに、目の前でおちゃらけているトルマを見て、ももかは確信した。




(うん。気のせいだ。)





そう思った。