「…アオイ、私の後ろへ」


「は、はいっ…」


センスイから視線を外さず、右手でアオイの体を守るようにガードしているアラン。

少女は急いでアランの背後へとまわり、不安そうに彼の背からこちらを伺っているのがわかる。


そしてその言葉を聞き逃さなかったセンスイは…


「茶室でも思いましたが…アオイさんは、彼から呼び捨てで呼ばれる事に抵抗がないようですね」


「そ、それは…」


始めから近しい間柄にあるアランとアオイ。
しかし、それを知らぬセンスイは彼からアオイを守ろうとしていてくれた。


(ごめんなさいセンスイ先生…)


騙してしまったようで心苦しさを感じたアオイはすまなそうに視線を落としている。


「…貴様に話す事はなにもない」


容赦のないアランの口調にセンスイは嘲笑うような表情を向けて口を開いた。


「時折アオイさんが怯えた表情を見せるのは…貴方という存在が近くにあったからなのですね」