そして…隣りにいるセンスイを見上げ、


「ありがとうございました…センスイ先生」


「アオイさん?」


不思議そうに首を傾げているセンスイは、アオイに礼を言われる理由がわかっていない様子だった。


(これでいいんだ…)


ほんの少し前までこの肩を抱き…腕を掴んでくれた彼の優しい手。


(私が好きなのはお父様だけだもの…)


「いえ、何でもありません」


笑みを浮かべながらセンスイへと一礼し、アランの元へと駆け寄っていくアオイ。


「アラン先生、私たちと一緒に下のカフェでお昼いかがですか?」


「……」


陽気に振舞うアオイの横顔を無言で見つめているセンスイ。


そしてそっと呟かれた思いがけない彼の一言。




「これがあなたの為になるのなら…今はそういうことにしておきましょう」