目がさめるとあたしはなわにしばられていた。
どこか夕方の高いビルの屋上にいた。
夕やけの空が近くて、風があたしを切るようにつよく吹く。
前には3人の忍者がいた。千賀の忍者ではない。
「目覚めたか」
1人の忍者が低い声であたしのところへ近づく。
あたしは口に布をあてられて喋る事が出来ない。
「富良野白雪、噂通り美しい」
忍者はそう言いながらあたしのかみの毛や顔をなでる。
なわでしばられてうまく動けないあたしはせいいっぱい忍者をにらんだ。
「あと少しでヘリコプターが来る。そしたらお前は田村様の人形になるのだ」
忍者はそう言って笑うとあたしから離れた。
1人きりで修行してたからだれもあたしがどこにいるか知らないだろう。
だからあたしはもう助からないんだ。
そう思うとなみだがポロポロとあふれてきた。
あたしが強くないから、もう二度と先生にあえないんだ。


