ファミリー

幽霊からの接触。

思わず肩のあたりが緊張する。

ツンーーツンーーツン。

少し間を置いて三回。

気のせいと思われるのを心配したのか、
それは意外に強い力で繰り返された。

「あっ」

思わず声が出た。

気がつくと、高森は仮眠室を一メートル
ほども通り過ぎてしまっていた。

平常心を保っているつもりだったが、
実はそうでもなかったらしい。

引っぱられた方へ視線を落とすと、白衣を
握ったままの小さな白い手が見えた。

高森は少年の意思を理解した。