ファミリー

そういう現象を信じていないという
よりも単にどうでもよかった。

失いたくないものなど、どうせ一つも
ないのだから。

しかし名前を知らなければ、やはり
不便だろう。

少し間を置いた後、高森はひと息に
訊ねた。

「君の名前を教えてくれるかい」