ファミリー

少年が了解したというように大きく
頷くのを見て、高森は腕時計で時間を
確認した。

「今は午前三時半だね。
僕は明日も朝から仕事があるから、
すぐに寝ないといけない。
できるだけたくさん眠っておきたいんだ」

少年はもう一度頷く。

「だから用事があるのなら、早く
済ませよう。
まず」

どんな調子で会話を続ければいいか
わからず、高森は言葉を探す。

それでも少年と話し続けることに
ためらいはなかった。

魂を奪われることにも取り憑かれる
ことにも恐れはない。