船からゆらゆらと揺れる陽炎を、ぼんやりと見つめてイーリスはショックな話に動揺を隠せなかった。
陸につくなり奇声をあげて駆け出して行ったゼウスはとりあえず放っておいて、それを仕方なく追いかけたヘルメスも置いといて。
「最高神…」
魔法を解いたゼウスは綺麗で冷たく。
言い放たれた言葉も嘘とは思えなかった。
“お前は口封じがしやすい。俺達以外に仲間がいないし宇宙族だから弱いから”
「クラウン、か」
「イーリスちゃん」
「!」
「悩んでるんだ?」
「何!?」
「大丈夫。俺も知ってるから」
「…私、利用されてるの?」
「そうだと思う」
「そこは慰めるとこだけど」
「嘘言って信じないでしょ」
もっともな理屈にイーリスはまゆをひそめる。
「昔っからあーゆう奴なんだ」
「…」
「一族のせいか、人を物質としか捉らえられないらしくてね」
「…」
「変えてくれたのがヘルメス君だから。すこし悔しい」
「まるでずっと知ってるような口ぶりね」
「あったり前だろ。あいつは俺の恩人で」
怪し過ぎる笑顔を浮かべながらキングは言った。
「可愛い妹なんだから」
fin.


