☆Friend&ship☆ -序章-


美しく波打つコバルトブルーの上で鬱うように時は過ぎる。

何も知らないというには余りに自虐的にヘルメスは言った。

「俺はまだ、弱い」

「何言っちゃってんの?今更」

「別に」

「…あの一件は貴方だけの責任じゃない」

「あるとしたら俺だし。あいつら、お前に付け込みそうだ」

すこし場違いな気がしたイーリスは多少後ずさる。

それを感じてゼウスがクスッと笑った。

「なあイーリス?お前も知っとけよ」

「いいわ」

「いいじゃん、別に」

「…おいお前、イーリスは」

「信用できない?」

「まだ幼い」

「ハッ!笑わせる」

「なんかキャラぶっこわれてるけど」

何かいいたげにヘルメスが言う。

「…いつものことだ」

「苦労してんだ」

「いやそうじゃない」

それに被せるようにゼウス。

「俺さイーリス、まだ話してなかったよな。俺の夢」

ゼウスが微笑んだ。

「戦うために戦う」

「どういうこと?」

「何かさ、イーリス運命って信じてる?」

「いいえ」

「でもあるんだよな~、運命宿命」

「何が言いたいの?」

「神に逆らいたいんだ。俺」

ゼウスは瞳を輝かせた。

「本当の目的は分からないけどじっとしてたら負けそうだから。根拠はないけど絶対勝たなきゃいけない。敵は分かってる。だから、勝つんだ」

「用はだ。神をも裏切りたいんだと」

「だって悔しいし。生まれた場所で大切な人も未来も奪われるとか」

「…無謀だ」

「ははっ!」

ゼウスは人を食ったような嘲りの笑顔で言った。

「この世界は腐ってる」

「!!」

イーリスは今更、ヘルメスの言いたい事を悟った。

いつもと違うのが普通なんじゃない。

いつもが、素がこれなんだ。

ゾクッとするほど綺麗な笑顔はコバルトブルーによく映えた。