「あ」
「何だ」
ゼウスは何の前触れもなく立ち止まる。
「お前食べる?」
「俺はおいしくないと思うが」
「まあ確かに身はない…じゃなくて!」
ブンブン頭を振って膨れっ面になったゼウスは店を指差していった。
「あれだよあれ!ソフトクリーム!」
「買ってやる」
「俺が買うの!お前が食べるの!」
「は」
「お姉さーん!パイナップル二つ!」
「え、あ、はい!」
ヘルメスを遮りさっさと注文する。
満面の笑みは店員を虜にする。
もうお決まりだ。
「お待たせしましたぁ~!」
「あ、サンキュー!」
「何故同じのを二つ頼むんだ」
「だからお前が食べるの」
はい、と差し出すとヘルメスは戸惑いしかないような表情で受けとらない。
無理矢理中途半端に開かれた手の平に押し込むと何とか握らせることができた。
ほらほら溶けるだろ、というとヘルメスは困ったようにわずかに口に含んだ。
「うまい?」
「冷たい」
「そっかぁ」
無理矢理食べさせたソフトクリームに一応反応を返してくれたのでゼウスは嬉しそうに笑う。
「ちゃんと全部食べろよ」
「…」
すでに溶けかけているのでゼウスはほんのすこしだけすくい取った。
「はいはいあとはコーンね」
ゼウスはむしゃむしゃ食べはじめたのを見届けた。


